都内公立中3評定状況の調査結果

3月22日に、
東京都教育委員会より
都内公立中学校第3学年及び義務教育学校第9学年(平成29年12月31日現在)の評定状況の調査結果について
が発表されました。

中3の内申の分布ですね。

各教科の評定分布状況を見て、
まず気になるのは国語と実技教科(特に保健体育)が比較的
3に集まりやすく、5も1も少ないことです。

うちの教室でも昨年、第一中学校の生徒で
音楽の期末試験の点数は90後半を取っていましたが
実技の方で積極性が欠けていたため成績が3だった子がいます。

その子はそれをバネに実技でもしっかり
先生にわかるかたちでの頑張りを見せるようになり
結果として成績も上がりました。

第五中学校のように実技教科でテストを実施しない教科がある学校もありますが
どちらにしても言えることは、目に見えるかたちの努力というのは
とても重要だということです。

これは将来、社会に出ても言えることですが
アピールばかりをして中身がない人間になれということではなく
ちゃんと勉学などで努力をし、それを伝えるのもまた必要な努力なのです。

よくご家庭で「宿題ちゃんとやったの?」
「今やろうと思ったのに」というやりとりがあるかと思いますが
これは日ごろから、ちゃんとご家庭で勉強する様子を
「今日は〜をやったよ」と口頭で伝えるでも
実際に勉強をしている様子がわかる場所で行うでも
伝えていく努力が足りないため、
保護者の方は心配になり、声をかけるわけです。

出来ればお父様やお母様も
あたたかく何も言わずに安心して見守りたいものです。

そう出来るような環境に自らしてみれば
双方向的に随分と楽になるかと思います。

少し話が脱線しましたが
要するに実技教科などは評価をしてもらうための
努力を怠れば、印象が薄いのでざっくりと3になってしまいます。

少し意識して、新学年は迎えてみましょう。

また、国語の成績が悪いのも気になります。

国語力はすべての強化に通じる力です。
どうにかなるような気がして国語の学習を後回しにしがちな子もいますが
それでは文章問題などで大きくつまずき、
わかるはずなのに解けない、ゆっくりやればできたのに、のような
誤読によるミスを各教科で発生させます。
ぜひ、国語力の強化というのは意識していきましょう。

幼いころからの読書は知能指数を高めるのに効果があるというデータもあるようです。
読書は様々な世界を私たちに伝えてくれ、知識を増やし、
ものの見方を広げてくれるばかりではなく、
ひとに何かを伝える技術の向上にもつながります。

結局はひとに伝えるほとんどの機会が言葉を通してなわけです。

であれば、その言葉、つまり語彙を豊かにしてくれる
一番身近な存在は本やテレビ、インターネットを通してとなります。

しかし、テレビやインターネットを通してだけだと
端的な言葉であることが多いのが現状です。

言葉のつながりや様々な表現を駆使し、
ひとに感動を与えたりもしてくれる本に
ぜひ接する機会を子供のころからしっかりとっていきましょう。

さて、長くなっていますが、まだまだ続きます。

読み疲れてしまった方はまた別の機会にでも読んでいただければ幸いです。

実技や国語について話をしましたが
もうひとつ気になることがあります。

それは英語と数学に見られる特徴です。

英語と数学は5、4が占める割合が他教科に比べれば高く
これは英語教育、理数教育などを掲げてきた
現在の教育制度が成し遂げてきた成果といえるのかもしれませんが
同様に1、2が占める割合もこの2教科は高いのです。

つまり、2極化してしまっている傾向がやや見られるわけです。

私たち学習塾も、そして公教育も、
優秀な子たちが更に伸びる環境づくりを進めながら
苦手、嫌いとしている子たちが
「先生、やっぱり数学好きになってきた」
「英語が面白くなってきた」
と笑顔で言ってもらえるような
そんな教育をすることが常に芯として持っていたいものです。

その教科に自信を持てるかは、
将来の人生を大きく左右したりもします。

受ける大学、文系理系、またその分野が得意かどうかで
就職する会社にも変化があります。

私たち教育者にはとても責任が大きいと
英語や数学での成績分布を見て、再認識させられます。

あと最後に、
PDFファイルになるのでご注意いただきたいですが
さきほどの東京都教育委員会のページのうちの
中学校等別評定割合( 個表) をご覧ください。
11ページを見ていただければ武蔵野市の中学校の成績分布が載っています。

ファイル自体の右上にあるページ数で言えば10のところです。

ちなみに、学校名は非公表のため単純にナンバーが振られているので
決して1が第一中学校と決まってはいません。

1番目と6番目の中学校の成績分布を比較してもらうとわかりますが
これはさすがに不公平ではないかと感じるぐらい
成績分布に大きな差があります。

成績で5をつけている割合は
国語でいえば1番目は9.0%に対して6番目は21.4%もいます。
数学でいうと1番目は8.8%に対して6番目は23.1%、
音楽でいうと1番目は7.2%に対して6番目は16.2%、
技家でいうと1番目は7.5%に対して6番目は21.4%となっています。

それぞれの中学校の分母数は当然違うでしょうが
2倍以上も割合に差があるのはどうなのでしょうか。

しかし、ここで比較をしていてゾッとしたのが
武蔵野市の上にある立川市のデータです。

9番目の学校は3.6%しか国語で5の成績がついた子がいません。

武蔵野市6番目の学校の6分の1という割合状況は
さすがに笑えない数字ですね。

立川市3番目の学校はかなりシビアで、
音楽では3.3%、保健体育では2.8%、技術家庭科では2.3%のみしか
5の成績がついた子供の割合がいません。

上の方で書いたように伝える努力をする生徒が少なかったのか
単純に先生の方針の問題なのか。

中等教育学校も含むため、この3番目の学校が
都立立川国際中等教育学校であればまだよいですが
公立中学校であれば実技教科が2倍されて内申が換算される今、
不利な状況を都立上位を目指す子たちは強いられたようです。

ただただ厳しい評価をしても子供たちは
自信を無くし、嫌いになっていく一方です。

努力している子たちにはそれ相応の評価をきちんとしてほしいと思います。

とはいえ、
それを期待していても始まりません。

自分自身がいる環境下で
精一杯努力し、良い成績を勝ち取るべく
ぜひともに頑張っていきましょう。

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